フラジャイルアート

何物も変容から逃れられないとするならば、壊れやすさは

作品そのものにあるのだろうか?それともそのコンセプトにあるのだろうか?

 

フラジャイル・アート(壊れやすいアート)のテーマは破壊と再生である。物質的、生物学的、精神的なあらゆる側面はダイナミックな生と死を表現している。歴史それ自体もこのダイナミックを反映している。自由の女神に起こるであろう歴史的変容をシュミレーションすることで、自由の意味を考え直してみるというのがこの作品のテーマである。時を経るごとに像は変容する。この像が体現するコンセプトは、忘れ去られるのだろうか?あるいは変化するのか?現在とは違う自由に対する考え方を持った私達の子孫は、壊れた自由の女神を、私たちがミロのビーナスを見るように違った意味で見るのだろうか。この現在のイコンを象徴的に破壊再生することで新しい自由を考える

余地を作りたい。

 

このプロジェクトで、私は15㎝の土産物の自由の女神を石膏でたくさん模りし、それを街頭に置いた。通行人が意識的であれ

無意識的であれ、それを蹴ったりよけたりする様子をビデオ撮影し、その後すべての破片を回収して、スタジオで元の姿にできるだけ復元、写真撮りした。

 

実は破壊され再生された石膏の自由の女神は私自身をも表してもいる。版画・ドローイング・ペインティングを通して、私は自分にとって不変の核となるものは何かを追求してきた。しかし、この他国籍の街に住み変わらないということは私には不可能だった。多様な人々と文化にさらされるうち、ここにいる人々とアートを通じて関わり合いと強く感じるようになった。

こうしてこのプロジェクトが1999年に始まった。

 

これを立ちあげた時は、2001年の9・11の悲劇は予想だに出来なかったが、私は21世紀に向けて行き詰まりをみせる人類の未来に何か新しい価値観をもたらす変容が必要だと感じていた。私はこの出来事が歴史上の変節点であると信じている。いまこそ、世界中の人々が平和に暮らせる方向に向かう流れになればよいと考える。フラジャイル・アートがそのひとつのきっかけになればこれ以上嬉しいことはない。      2001年

​滑川みざ/なめかわみさ/MisaNamekawa